ヒプノセラピストコラム

第2話 依存症から抜けたい。そのヒントはどこに?

恋愛依存症、買い物依存症、アルコール依存症、ギャンブル依存症・・・・。そうした依存症から長年抜け出せずに、人知れず苦しんではいませんか。

では、日常生活を送りながら依存症から回復する方法はあるのでしょうか。

1%を人のために使う

諏訪中央病院の鎌田實医師によると、依存症になる人には、自分にこだわりすぎているという共通点があるそうです。そこから変化するために、鎌田医師はアルコール依存症の人の例を出して、こんな提案をしています。

自分のことを横に置いて、断酒会で自分の体験を話すボランティアをしてみるなど、より困っている人に手を貸してあげること。本人は、話を聞いてくれる人がいるおかげでますます回復していくそうです。
こうも続けます。しんどくても、1%を人のために使う気持ちを持つこと。99%は自分のために使っていい、けれど、1%は人のために。すると、やがてそれが何らかの形で自分のところへ戻ってくると言います。

心の空洞を満たしてくれるもの

筆 者が相談を受けるのは、依存症では主に恋愛依存症と買い物依存症ですが、鎌田医師のこのお話には、心から同感しました。筆者のセラピーでは、恋愛依存でも 買い物依存でも、それをしている自分から少し意識を別な方向に向けることができないかどうかを探っていくからです。それは、鎌田医師に習うならば、人のた めに使う1%の使用法を探していると言いかえることができます。それを見つけることができれば、1%は何十倍にもなって、依存のせいでぽっかりあいた心の空洞を満たしてくれる可能性があるのです。

以前、傾聴ボランティア講座を受講したときに、講師の鈴木絹恵先生(NPO法人ホールファミリーケア協会理事長)からきいたお話を思い出します。傾聴ボランティアさんの中には、家族の介護をしている人もいます。その方が言っていたそうです。つらい介護ができるのは、他人の傾聴をして差し上げる時間があるからだと。

一見、逆説的に聞こえますが、しんどい時でも1%を人のために使うことで、心に充足感と余裕が生まれてくるという例ではないでしょうか。筆者も家族の介護をしていた時、同じような心の動きを経験しています。

もし、あなたが依存症で悩んでいたら、この記事が少しでも参考になればうれしいです。

※参考『月刊PHP』(2010年8月号)